IDEA LAB / RESEARCH NOTE · 構想段階
分散・自由軸フライホイール
高速回転体にエネルギーを蓄えるとき、回転軸を機体へ固定する必要はあるのか。
IDEA LAB / RESEARCH NOTE · 構想段階
高速回転体にエネルギーを蓄えるとき、回転軸を機体へ固定する必要はあるのか。
電気を蓄える方法は、化学電池だけなのだろうか。
回転体の運動エネルギーとして蓄えれば、充放電の仕組みを変えられる。しかし大きな回転体を車両へ搭載すると、角運動量が車両の姿勢変化に影響する。
それなら、小型の回転体を分散して配置し、さらに回転軸を車体から自由にできないか。
そんな疑問から、フライホイールの形と支持方法を考え始めた。
最初の案は、小型回転体を多数配置する分散方式だった。
その後、中空の球体を高速回転させ、磁気的な支持によって機械的接触を減らす案へ発展した。
さらに、回転軸を車体へ固定せず、内部の支持構造によって角運動量の方向と車体姿勢の関係を変える構想も考えた。
高速回転する部分、支持する部分、エネルギーを出し入れする部分を分離する発想である。
フライホイールに蓄えられる回転エネルギーは、
E = Iω² / 2
角運動量は、
L = Iω
で表される。
ここでIは慣性モーメント、ωは角速度である。
車両質量1500kg、速度60km/hの運動エネルギーは、単純計算で約208kJとなる。
この値は、都市走行の加減速で扱うエネルギー量を考える手掛かりになる。ただし、回生で全量を回収できることを意味しない。
回転軸を自由にしたとしても、角運動量が消えるわけではない。姿勢変更に伴う反力を、どの部分が受けるかを明確にする必要がある。
薄いリングと薄い球殻では慣性モーメントが異なる。
同じ質量・半径・回転速度なら、薄いリングの慣性モーメントはmr²、薄い球殻は2mr²/3となる。
したがって、球体にするだけで蓄積エネルギーが増えるわけではない。
また、回転速度を上げると、遠心力による応力、材料の疲労、支持系の損失が問題になる。
過去の議論では、非常に高い体積当たりエネルギー密度や、長時間の低損失保持を目標とした。しかし、それらは達成済みの値ではない。
材料の強度、破損時のエネルギー、磁気支持の安定性、発電機の損失を含めて再計算する必要がある。
車両用の短時間回生装置と、定置型の大出力蓄積設備は、要求条件が異なる。
用途を分けて、回転体の形状、分散数、角運動量の相殺や支持機構を比較したい。
回転エネルギーを蓄えるという原理は確立している。まだ分かっていないのは、この構想で考えた支持・分散構造にどんな利益があるかという点である。
このページは、過去の検討を再構成した研究ノートです。装置全体の成立や性能の実証を示すものではありません。